議事録作成・管理AIエージェント・無料でつくる、使えるAI!30分でできる!学会事務局のAI活用
2025年11月09日
はじめに
本記事では、Google AI Studioを活用し、議事録作成管理のAIエージェントを作成します。委員会などの会議後には議事録作成業務が発生することから、関連業務の効率化を目的として、AIエージェントの構築プロセスを解説します。
1. 使用ツール「Google AI Studio」の概要
はじめに、今回使用するGoogle AI Studioについて、ChatGPTを用いて説明します。
Google AI Studioは、Googleが提供する生成AIツール・プラットフォームであり、主に以下の特徴と機能を備えています。Googleが開発したマルチモーダル生成AIモデルを基盤としており、テキスト、画像、音声、動画といった複数のモーダル(形式)での入出力に対応しています。これにより、動画の要約や翻訳も可能です。また、基本的な機能は無料で利用できます。

具体的な機能としては、テキスト生成・要約・翻訳、長文ドキュメントの要約・翻訳・質疑応答、画像・音声の処理・編集、動画の内容分析、そして音声ファイルからの文字起こしによる議事録作成などが挙げられます。今回はこの「議事録作成」機能を中心に活用します。
2. Google AI Studioへのログインと初期設定
Google AI Studioにログイン後、左側のメニューから「Build」をクリックすると、プロンプトの入力画面が表示されます。ここからAIエージェントの構築を開始します。

3. 議事録管理ツールの作成プロセス
ステップ1:プロンプトの入力
プロンプト入力欄に、作成したいツールの要件を以下のように具体的に指示します。
「議事録管理ツールを作成してください。会議名・日付・特記事項・開催場所・参加者項目を入力できるようにし、会議のメモと音声録音をアップロードして議事録を作成します。
アップロードした音声から文字起こしを行い、議事録を作成して管理できるようにしてください。
タスクの箇条書きを作成し、期限と担当者を割り当てられるようにしてください。
テキストの出力機能も入れてください。」

前回と同様に、作業時間を計測するため30分のタイマーをスタートさせ、プロンプトを送信します。
ステップ2:AIによる自動構築と初期バージョンの確認
プロンプト送信後、AIによる構築が開始され、約2分という短時間でツールの初期バージョンが完成しました。生成された画面には、会議名、特記事項、参加者といった入力フォームと、音声ファイルをアップロードする欄が用意されています。

動作確認のため、各項目にテストデータを入力し、実際のZoom会議から抽出した音声データをアップロードします。

生成された結果を確認すると、会議情報、議題、決定事項、アクションアイテムといった項目が表示されました。しかし、その内容はサンプルテキストであり、アップロードした音声データが反映されていないことが判明しました。

ステップ3:修正プロンプトによる機能改善
この問題を解決するため、プロンプト入力欄に以下の修正指示を追加します。
「文字起こしは実際の音声データから行い、議事録を作成して」

一度の指示で完璧なツールが完成しなくても、このように対話を通じて修正・改善を重ねられるのがAIエージェントの利点です。修正指示を送信すると、AIがツールの内部ロジックを更新します。
修正が完了した後、再度同じ音声ファイルをアップロードします。AIが文字起こし処理を実行し、今度はアップロードした音声の内容に基づいた会議の概要、主な決定事項、アクションアイテムが正確に生成されました。実際のミーティング内容が議事録に反映されていることが確認できます。


ステップ4:タスク抽出機能の実装
このツールには「タスクの抽出」ボタンも実装されています。このボタンをクリックすると、AIが議事録の全文を解析し、関連するタスクを自動で抽出して一覧表示します。抽出されたタスクには、担当者、期限、ステータスを管理する欄も用意されており、議事録作成からタスク管理までをシームレスに行うことが可能です。ここまでの所要時間は約15分でした。


ステップ5:テキスト出力機能の確認
「テキスト出力」機能を実行すると、会議名、日時、開催場所、概要、アクションアイテム、特記事項、タスク一覧が整形されたテキストとして出力されます。このテキストをベースに若干の調整を加えることで、正式な議事録として完成させることができます。

ステップ6:追加機能(マイク録音)の実装
時間に余裕があったため、さらなる機能拡張として「PCからのマイク録音機能を追加して」という指示を試みました。これにより、既存の録音データをアップロードするだけでなく、会議の場でPCのマイクを使って直接録音し、リアルタイムで議事録を作成する機能が追加されました。この機能により、オンライン会議だけでなく、対面形式の会議でも本ツールを活用できるようになります。

4. まとめと今後の展望
本ツールでは、AIが抽出したタスクの要不要を判断する、あるいはリストにないタスクを手動で追加するといった細かな調整は必要になる場合があります。しかし、一から議事録を作成する手間を大幅に削減できる点は大きな利点です。
このように、Google AI Studioのようなツールを活用することで、専門知識がなくても、学会事務業務を効率化するAIエージェントを短時間で構築することが可能です。


