特別招待講演・特別企画
特別招待講演 ①【11/25 午後:時間未定】
講演者: Mathews Jacob 氏 (米国ヴァージニア大学教授)
題目: Multi-scale energy (MuSE) models for imaging with guarantees
講演概要: Magnetic Resonance Imaging (MRI) is undergoing a paradigm shift driven by advances in computational techniques and artificial intelligence. I will introduce state of the art approaches such as unrolled methods, plug and play priors, and diffusion models that are being increasingly used in MRI. I will then introduce multiscale energy models (MuSE), which are related to diffusion models for image recovery. Unlike classical diffusion models, MuSE models explicitly model the prior and posterior distributions in image recovery tasks. This property enables one to formulate the inference as an optimization algorithm rather than computationally expensive ordinary/stochastic differential equation solvers used in the diffusion context. We introduce fast optimization algorithms with guaranteed convergence as well as introduce guarantees on robustness. The utility of this scheme to provide fast inference and uncertainty estimates will be shown in several applications, including static and dynamic MRI.
特別招待講演 ②【11/26 午後:時間未定】
講演者: 宝珠山 治 氏(京セラ)題目: パワー感応型非線形エコー抑圧技術の開発を振り返る -携帯電話で快適なハンズフリー通話を実現するまで-
講演概要: 本講演では、電子情報通信学会令和6年度業績賞「快適なハンズフリー通話を可能とするパワー感応型非線形エコー抑圧技術の開発と商品化」について振り返る。2000年代前半、携帯電話でのビデオ通話が可能となり、ハンズフリー通話機能が必須となったが、スピーカからマイクへの音響的結合により発生する「音響エコー」の抑圧が大きな問題であった。小型の携帯電話ではスピーカからマイクへの距離が近いため結合が強く、しかも当時のスピーカは非線形歪みが大きいため、従来の線形エコーキャンセラでは、音響エコーの非線形成分が大きく残留した。残留エコーを無理に抑圧すると、相手側音声も途切れるなど、通話自体が困難であった。この問題に対し我々は、周波数領域において、残留した音響エコーと線形エコーキャンセラで生成した疑似エコーとのパワー(振幅)間に相関関係があることを発見し、これに基づき残留エコーを抑圧する技術を開発した。軽量な処理で快適なハンズフリー通話を実現し、NEC製携帯電話1000万台超に搭載された。音質向上とスピーカ設置位置の自由度をもたらし、薄型化などデザイン洗練にも貢献した。この周波数領域における非線形エコー抑圧技術は、現在のビデオ会議においても発展して利用されている。
特別招待講演 ③【11/26 午後:時間未定】
講演者: 岡田 誠 氏(茨城大学理学部 理学部長)題目: 地質年代「チバニアン」と地磁気の逆転
講演概要: 約46億年間の地球の歴史は、地層に残されたさまざまな痕跡をもとに117の地質年代に区分されています。そして各地質年代の始まりの痕跡が世界で最もよく残された地層が、その年代の基準の地層 (GSSP) として選ばれ、その地層が見られる地域名にちなんだ地質年代名称がつけられます。中期更新世(約77.4万年前〜12.9万年前)という地質年代区分は、2020年1月に千葉県市原市の地層がGSSPとして選ばれ、日本の地名にちなんだ初の地質年代「チバニアン期」と名付けられたのです。承認の決め手となったのは、年代区分の目安とされた約77万年前に起こった地磁気逆転現象の地層記録が他を圧倒していたことでした。過去の地磁気は地層に含まれる磁鉄鉱など磁性を帯びた粒子が、地磁気の方向へ並んで堆積することで記録されます。磁鉄鉱は火山岩に多く含まれますが、房総の地層は、堆積物の供給源の一つとして火山岩からなる伊豆島弧が含まれます。このため確かな地磁気の記録を残すことができたのです。本講演では、チバニアンの提案から承認までの過程に加え、この快挙をもたらした房総半島の地層が持つ類い希な特徴についても紹介します。