日程表

本大会のタイムスケジュールは以下の通りです。
PDFで閲覧される場合は、下記バナーからご覧ください。
また、本大会の抄録集は参加登録の上、参加者専用ページ(オンライン会場)からご覧ください。

大会長講演:地域医療の先には何があるのか。総合診療の新時代とは。

【日時】 2022年11月20日(日) 9:50-10:10 (第1会場)
【座長】 西尾 健治(奈良県立医科大学総合医療学)
【演者】 吉本 清巳(奈良県立医科大学総合医療学)

概要

令和3年、“総合診療専門医”という専門医がついに誕生しました。
私は、いわゆるへき地診療所で地域医療をする医師の子供として幼少時代から高校までへき地で過ごしました。そして、自治医大に進学し、自分自身十津川村、曽爾村というへき地で医療を行いました。
何気ない日常診療、時に外傷、そして救急医療。生活に寄り添うような在宅医療、多職種と連携して地域を支えていく実感。乳幼児健診から、就学時健康診断、学校医、中学校への防煙教室、職場検診、住民検診、介護申請や施設の嘱託医、そして看取り、全世代にかかわれる医療。時には経営の問題や行政との折衝・協力、住民医療費の問題、国保税の決定、地域の保健行政への関わりもあります。地域の人の健康と生活を守る医療、地域医療はとても魅力的でやりがいがありました。私は、わくわくしながら地域医療をしていました。
しかし、私が後期研修を受けた20年前には、地域医療、プライマリ・ケアを系統的に学べるのは全国に数か所でした。卒前の医学教育でも、こういった医療を教える人はいません。そもそも大学には、それを経験した医師が教員としていないのです。私は、「このわくわくする地域医療を多くの若者に伝えたい」と思い、大学での医療、医学教育に携わることにしました。

 

病気ではなく人を診よ。よく言われます。地域医療の経験の後、大学・病院に戻って感じることは、今の医療があまりにも細分化されていることです。どうしても一か所の領域・臓器の病気を中心に医療を行うことが多くなっています。病気を診るにしても“総合的”に病気を診ることを教えてくれるところがありません。病院総合診療は、分野にかかわらず“総合的”に病気を診ることを行っています。だからこそ、からだ全体のことであっても、メンタルのことであっても、性別分野領域にこだわらず力強く対応できます。そしてもちろん人を診る視点を忘れていません。患者背景まで考えて医療をすることも学んでいます。専門医療はとても大事です。しかし総合診療と両輪であって欲しいと思います。病院総合診療の教育も20年前と比較して、とても充実してきています。

 

今は、新専門医制度で、全国でこの地域医療の教育と病院総合診療の教育を受けることができます。
地域の健康は何で決まりますか?CTの数ですか?医師の数ですか?病床数ですか?医療機関数ですか? 優秀なプライマリ・ケア医、総合診療医がいることで地域が健康であるというエビデンスがあります。(WHO: Technical series on primary health care: Building the economic case for primary health care: a scoping review.2018.)
まだまだ少数な総合診療専門医ですが、優秀な総合診療医がたくさん増えることで、地域の医療、日本の医療が良くなると思いませんか?
わくわくする新時代へ。自分の経験から、そんな話をさせていただけたらと思います。

特別シンポジウム:総合診療医とは、その魅力と価値、将来像について

【日時】 2022年11月20日(日) 10:10-11:00 (第1会場)
【座長】 吉本 清巳(奈良県立医科大学総合医療学)
【シンポジスト(指導医)】
雨森 正記(医療法人社団弓削メディカルクリニック/滋賀家庭医療学センター)
大島 民旗(大阪家庭医療総合診療センター/公益財団法人淀川勤労者厚生協会附属相川診療所)
森川 暢(市立奈良病院)
【シンポジスト】
新専門医 長谷部 仁美(葛西医院)
専攻医  京谷 萌(兵庫県立丹波医療センター)

概要

令和3年に「総合診療専門医」が誕生しました。総合診療医が初めて、「専門医」として認められた歴史的な年となりました。総合診療医の育成に携わってきた大会長を座長に、近畿で長く総合診療医の育成に関わってきた指導医の先生、病院総合診療を中心に指導されてきた指導医の先生、そして、新専門医の先生の先生を交えて、総合診療医の魅力と価値、将来像をテーマにシンポジウムを行います。
新専門医制度は、2018年から研修開始となりましたが、それ以前から、日本プライマリ・ケア連合学会の「家庭医療専門医」を長く指導を続け育ててきた先生方に、その熱い思いを、新専門医の先生にその魅力と意気込みを語っていただく予定です。
大会長講演から続くシンポジウムとなっています

特別講演:幻の御守捜索大事件―神頼みを通して考える仏教と医療のプライマリ・ケア

【日時】 2022年11月20日(日) 13:25-14:25 (第1会場)
【座長】 安東 範明(安東内科医院/奈良県医師会会長)
【演者】 ザイレ 暁映(法相宗大本山 興福寺 録事)
【詳細】 詳細は特別講演特設ページをご覧ください。

概要

寺院と病院に来る人々は、一体どう違うのでしょうか。
答えは、意外と複雑です。
その理由は、仏教と医療との間の境界線は、極めて曖昧なところがあるからです。自然科学に基づいて人間の身体を治療しようとする医療と、人間の過去の経験の大集成である法(教え)をもって人の心を癒やそうとする仏教の活動領域は、体と心を完全に切り離せない限り、必然的に重なり合う部分があります。
本講演では、今年奈良県内で実際に起こった「幻の御守捜索大事件」を通して仏教寺院の「現場」の様子を紹介したいと思います。現在の日本では「宗教離れ」という言葉をよく耳にしますが、この事件からは逆に、宗教に寄せられる期待そのものが依然として、しかも昔とあまり変わらないままに継続されている事実を覗うことができます。
仏教と医療との共通性を指摘した上、両者の相違点にも目を向けたいです。仏教と医療との人間観はどう違うのでしょうか。両者は一体何を目指しているのでしょうか。具体的に、苦しみの原因とその最適な改善方法は、どう理解されているのでしょうか。
世俗主義のもとで発展してきた現代社会において、宗教の扱い方がよく分からない人が増えてきたのは、仕方ありません。しかし、「わくわくする地域」を医療従事者の努力だけで実現できないのも、事実です。「新時代へのパラダイムシフト」の一角として、医療従事者と宗教者との間の意見交換は、極めて大事だと思います。社会におけるお互いの役割を理解し、お互いから習い合うことによってわくわくする地域を目指していく道を、提案してみたいと思います。

教育講演1:病の治療における近年の課題と医師‐患者関係の重要性

【日時】 2022年11月20日(日) 11:15-12:15 (第1会場)
【座長】 八嶌 功(八嶌医院院長)
【演者】 石井 均(奈良県立医科大学医師・患者関係学講座教授)

概要

近年、医学の領域においては科学と技術の爆発的な発展があり、多くの医師は、それを習得していくために多くの時間を費やしている。それらの発展は患者に大きな利益をもたらすものであるという側面と、医学における非人間的部分の拡張という側面をはらんでいる。このような時代にあって、「ハリソン内科学」は冒頭で以下のように医師‐患者関係の重要性を指摘している。

医師は、患者が問題を抱えた個人であり、その問題はしばしば身体症状を上回るものであることを忘れてはならない。これはテクノロジーが高度に発達した現代においてとくに重要である。多くの患者が心配と不安を抱えている。医師の人柄の温かさやopenness(心が開かれていること、どんなことでも聞いたり話したりできること)に裏付けられた専門的職業人としての態度は、患者の不安を軽減することや病歴のすべての側面を共有することに大いに役立つ。ケアをしていく医師にとっての本質的な特性は、共感(empathy)とおもいやり(compassion)である。

一方で、人生100年時代と言われるような長寿社会を迎えている。病を持つ人においても長寿が可能となり、例えば2型糖尿病の人の平均死亡時年齢の日本人全体との差は2歳以内である。したがって、病を持ちながらも、できるだけ活動性や満足度の高い人生を送ることが最終的な治療目標となってきている。すなわちQOL(日常生活の質)あるいはウェルビーイングの高い生活をめざすということである。  そのためには、日々の治療によって疾患をコントロールしていくことが基本となるが、最終目標をしっかりと見定めた上で、それを行っていくためには、病(例:糖尿病)を持つ人と主治医の信頼感に裏付けられた協同的治療(collaborative medicine)が必須となる。
理想的な医師‐患者関係は、患者をよく知ること、お互いに信頼できること、そしてコミュニケーションできることを基礎としており、このことが医学的アウトカムに重要な役割を果たすことをエビデンスやストーリーを通してお話ししたい。

教育講演2:折れない心の作り方〜アナウンサーの視点、心理士の視点〜

【日時】 2022年11月20日(日) 15:55-16:55 (第1会場)
【座長】 西尾 健治(奈良県立医科大学総合医療学)
【演者】 関根 友実(臨床心理士、アナウンサー)

概要

コロナ禍において、精神的回復力、逆境力を意味するレジリエンスという言葉が注目を集めています。予測できないことが起きうる不確実性の高い時代に対峙するには、微動だにしない鋼の強靭さよりも、柔軟でしなやかな竹のような弾力性のあるメンタリティが求められています。幼い頃から重度のアトピー性皮膚炎を患っていた関根がなぜ、アナウンサーという人前に出る職業を目指したのか。成人性の気管支喘息の発症という、話す仕事にとっては致命的とも言える疾患に襲われ、後にどうして心理臨床の道を目指すことになったのか。精神科医療の現場で心理職として働いているからこそ見えてきた「今、求められている心理ケア」とは何か。そして、折れない心の作り方ーレジリエンスを高めるために必要なことーを、患者として、アナウンサーとして、心理職としてお伝えします。

関根 友実(臨床心理士、アナウンサー)

ワークショップ1:おうちに帰ろう 〜快適な療養のための4STEP〜
(現地&オンラインのハイブリッド型式のワークショップです。※グループワーク参加には事前参加申込が必要です。一般視聴のみも可能です。)

【日時】 2022年11月20日(日) 14:40-16:55 (第1会場)
【座長】 粂田 哲平(JADECOM総合診療プログラム「地域医療のススメ」”奈良”) 
【演者】 朝倉 健太郎(社会医療法人 健生会 大福診療所 所長)
      西岡 令子(公益社団法人 奈良県看護協会 専務理事)

概要

退院前カンファレンスや4分割表を用いたカンファレンス等のいわゆる「多職種カンファレンス」の重要性については、我々医療者の中でも広く浸透してきていると思います。
しかしながら、この「多職種カンファレンス」を実際に有効に活用できているのかどうかについては、皆様も一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。いつの間にか形だけのカンファレンスになってしまい、患者本人の療養生活において確認しておかなければならないことが十分共有できていなかったり、一番大切な本人の価値観・意思決定が置き去りになってしまってはいないでしょうか。
今回はある症例についての多職種カンファレンスを想定し、患者本人・患者家族にとって快適な療養生活をマネージメントするためにはどのようなことを意識すれば良いのかについて、多職種でのグループワーク形式で検討し、それぞれの成功/失敗経験談等についても共有することで、理想の多職種カンファレンス像を作っていくことを目的としています。全ての医療に関わる職種の方々に参加いただき、活発な意見交換を行えるような機会にしたいと思います。

※ワークショップ1「おうちに帰ろう 〜快適な療養のための4STEP〜」は、グループワークを行う本地方会唯一のワークショップ型式のセッションです。ハイブリッドを存分に活用した、初の現地とオンライン同時進行で行うワークショップです。
一般視聴のみの方へは、グループワーク中、経験豊かな方々を集めたグループの議論の様子を配信します。

参加申込のご紹介

グループワークに参加ご希望の方は、今大会全体の参加登録とは別に、グループワークへの参加申し込みをお願いします。
※事前申込は終了いたしました。当日現地参加される場合は、開催時間に第2会場にお越しください。
グループワークには参加せずに見ているだけにしたいという方は観覧のみでの参加も可能です。

ワークショップ定員:現地会場50名 オンライン50名 (それぞれ先着順)
定員を超過した場合はオブザーバー参加をお願いさせていただくことがございます。あらかじめご了承頂けますと幸いです。

シンポジウム1:魅力がいっぱい、コミュニティナーシング!

【日時】 2022年11月20日(日) 9:50-11:00 (第2会場)
【座長】 武田 以知郎(明日香村国民健康保険診療所)
【演者】 近藤 敬太(藤田医科大学 連携地域医療学講座/豊田地域医療センター)
     久本 美穂(デイサービスときの森)
     福島 明子(百姓コミュニティナース)
     山端 聡(一般社団法人てとわ)

概要

本企画ではコミュニティナースの活動の多様性を知っていただくこと、プライマリ・ケア医とコミュニティナースとの関わりが地域の健康にもたらす効果について考え、今後参加者に実践いただけることを目標とする。
コミュニティドクターとして活動されている近藤敬太医師によるコミュニティナースの概要紹介、3名のコミュニティナースによる活動紹介ののち、参加者からのQ&Aを通じディスカッションを行う。

シンポジウム2:医薬連携 「互いに聞きたい10のこと」

【日時】 2022年11月20日(日) 11:15-12:15 (第2会場)
【座長】 小林 正尚(奈良県立医科大学総合診療科 / 宇陀市立病院地域医療部)
【演者】 池島 英之(なないろクリニック)
     佐和 明裕(奈良県立医科大学総合診療科 / 宇陀市立病院地域医療部)
     浅香 幸久(上北山村国民健康保険診療所)
     堀本 佳世子(堀本薬局)
     新田 朋弘(にった薬局)
     大荒 政志(育和会記念病院薬剤部)

概要

医師と薬剤師は同じ医療の現場に⽴ち、同じように1⼈の患者に寄り添う職業です。医療を⾏う 上で互いに重要な存在になっていることは⾔うまでもありません。しかし、直接話す機会は意外 に少なく、互いに抱く疑問や悩み、考え⽅や気持ちを知ることはほとんどないのが実情でしょう。 そんな問題を解決すべく、本企画を⽴ち上げることにしました。 当⽇は、会場の参加者から、実際に質問や疑問を頂戴し、様々な年代・セッティングの医師・薬 剤師シンポジストの先⽣⽅にご意⾒・ご回答をいただきます。医師・薬剤師が少しでも互いの理 解を深められるように、有意義な 1 時間を提供いたします。

シンポジウム3:研究をいつやるか?どう支えるか? 〜研究継続の極意とは?〜

【日時】 2022年11月20日(日) 14:40-15:40 (第2会場)
【座長】 村上 廣一朗(天理よろづ相談所病院 総合診療教育部)
【演者】 西村 龍夫(にしむら小児科)
     和田 幹生(金井病院 家庭医療センター・総合診療科)
     石井 充章(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)

概要

専門資格の前提として何らかの学術活動が求められる昨今ですが、プライマリ・ケア領域の研究についても、世代や置かれた環境を問わず関心のある方は多いかと思います。しかし忙しい日常診療の中で、なかなか取り組めない、継続できない環境もたくさんあるのではないでしょうか。 本企画では、プライマリ・ケア領域での研究について、その方法論や内容についてではなく、「研究環境」すなわちどのように時間を確保するか、あるいはモチベーションを保つか、継続していくかなどに着目します。プライマリ・ケア領域ならではの多様な背景をもつパネリストからのこれまでの経験をもとに、個人や施設・団体で「研究環境」を整えるどのような工夫があるかという点を、参加者と共に議論したいと考えています。
研究について興味があるものの取り組めていない先生や、今後を担う若手の先生、もしくは研究を支える教育者の方々を対象に、わくわくした気持ちで、プライマリ・ケア領域での研究の一歩を踏み出す、または支えていくきっかけになればと考えています。

口演一覧

多数のご応募をいただきありがとうございました。
口演一覧は以下のバナーからご覧いただけます。

オンデマンド限定プログラム一覧

こちらをご覧ください。

キャリアCafe miniについて

今大会でも日本プライマリ・ケア連合学会ダイバシティ推進委員会によるキャリアCafe miniをオンラインで開催予定です。
参加は参加登録の上、オンライン会場からお願いします。

①ゆるっとつながる病院総合医の集い

定期的に開催している学生さんや初期研修医を中心に少人数で若手病院総合医と”ゆるーく”お話しをする企画の出張版です。病院総合医ってどんなことしてるの?総合診療ってどんなこと?から今の研修のお悩みまで、話題はさまざま!ざっくばらんに、気軽に楽しくお話ししましょう!
合田 建 (兵庫県立丹波医療センター 内科)
小野 雅敬 (関西医科大学香里病院 内科・総合診療科)
原田 愛子 (飯塚病院 総合診療科)
天野 雅之(南奈良総合医療センター 総合診療科) 
運営 ダイバシティ推進委員会 官澤洋平 (明石医療センター総合内科)

②育児に関する医療従事者の集い

絶賛育児中のパパ、ママ集まれ!仕事と育児を両立していくのは大変ですよね。育児に関する医療従事者の集いから今回は弓削ママ友の会の新米ママ向原千夏先生をお向かえし育児に関する悩みを共有、相談できる仲間を作りたいと思います!

向原千夏(弓削メディカルクリニック 家庭医療プログラム専攻医)
運営 ダイバシティ推進委員会 官澤洋平 (明石医療センター総合内科)

③悩める若手研究者の集い

プライマリ・ケア研究を志す若手が増えています。しかし「挑戦したいけどどうしたらよい?」「研究を始めたけど進まない。」「始めたけど悩みがつきない。」など悩みは尽きません。そんな悩めるプライマリ・ケア若手研究者のみなさん、集ってざっくばらんにざっくばらんに悩みを共有しませんか?実践誌プライマリ・ケアの連載にむけて集った若手プライマリ・ケア研究者グループからのスピンオフ企画です!

日向佑樹(北足立診療所/東京慈恵会医科大学臨床疫学研究部)
運営 ダイバシティ推進委員会 官澤洋平 (明石医療センター総合内科)

PAGETOP